Long-Lived Photoexcited State of a Mn(IV)-Oxo Complex Binding Scandium Ions That is Capable of Hydroxylating Benzene J. Am. Chem. Soc. 2018 , 140 , 8405-8409. <質問1> Sc(3+)の結合によってdz2軌道の順位が上がる理由 本文中には、 Sc(3+)の結合によりσ-antibondingが不安定化すると記述されており、これをMn=O σ-antibondingだと解釈すると、dz2軌道は安定化するため、順位は上がるのではなく下がると考えられます。 また、先行研究(1)では、Sc(3+)の結合により Mn=O結合が伸長すると 記述されており、このことからもdz2軌道が安定化することが考えられます。 (1) Fukuzumi , S . and co-workers, J. Am. Chem. Soc. 2013 , 135 , 9186. <質問2> Sc(3+)の結合により一電子還元ポテンシャル(Ered)が大きくなるのはなぜか。 高原子価metal-oxo錯体の一電子還元反応には大きな 再配向エネルギー(λ)が必要であり、これは一電子還元過程において metal-oxo結合の伸長が生じるためです。 マーカス理論により、 Sc(3+)結合後の再配向エネルギーλの値が結合前に比べて小さくなっていることがわかりました。これは Sc(3+)の結合により、電子移動する前からすでに metal-oxo結合が伸長しているため、一電子還元に伴う metal-oxo結合距離の変化が小さくて済むためだと考えられます。 つまり、 Sc(3+)の結合によりλが小さくなるため、Eredが大きくなると考えられます。