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5/23 雑誌会回答(青木)

Proton-Coupled Electron Transfer Enhances the Electrocatalytic Reduction of Nitrite to NO in a Bioinspired Copper Complex Giacomo Cioncoloni, † , §  Isolda Roger, † , §  Paul S. Wheatley, ‡  Claire Wilson, †  Russell E. Morris, ‡ Stephen Sproules, †  and Mark D. Symes * , † † WestCHEM, School of Chemistry, University of Glasgow, University Avenue, Glasgow G12 8QQ, United Kingdom ‡ EaStCHEM School of Chemistry, University of St Andrews, Purdie Building, St Andrews KY16 9ST, United Kingdom 質問3 プロトンは亜硝酸イオンのO原子ではなくカルボン酸部位に直接つくのか? の質問に対して回答します。 水中における酸解離定数(p K a)はそれぞれ以下の通りです。(出典:化学便覧) ピコリン酸 1.07 亜硝酸 3.38 安息香酸 4.19 したがってピコリン酸の酸性度が最も高いため、亜硝酸イオンのO原子ではなく配位子のカルボン酸部位に選択的にプロトンが近づき、②→④のパスで反応が進行すると考えられます。

雑誌会(5/10)回答 藤田

質問番号 3,11,12 に対して回答します。 Q3. Ti −アルキリジン錯体はメタンと反応するくらい不安定か A3. 配位不飽和(空いた配位座がある)で多重結合をもつ前周期遷移金属錯体は、図1に示したような遷移状態を経て協奏的に炭素 - 水素間結合を切断すると考えられている( 1,2- 付加)。 C − H 結合の 1,2- 付加による活性化は協奏的メタル化−脱プロトン( Concerted Metalation − Deprotonation : CMD )機構による C − H 活性化の一種として考えることができる。 C − H 結合のσ結合がルイス酸である遷移金属(ここでは 4 価チタン)と相互作用し、金属の隣の求核性カルベン炭素が塩基性点として働くことで H は形式的にプロトンとしてカルベン炭素と結合し、アルキル基は金属へ形式的にカルボアニオンとして配位する(図1)。 図 1 金属オキシルラジカルによる水素原子引き抜き反応では(切断する基質の C − H 結合の BDE )と(生成する O − H 結合の BDE )の大小を比較するのに対して(図2a)、今回の 1,2 −付加反応では(基質の C − H 結合の BDE + Ti − C 結合の BDE )と(新しく生成する金属-炭素結合の BDE + カルベン炭素-水素間の BDE )の大小を比較する必要がある(図2b)。 図 2 Q11. キサントンとチオキサントンの還元電位の差 A11. アセトニトリル中で キサントン : − 1.76 V (vs SCE), チオキサントン : − 1.96 V (vs Ag/0.1 M Ag + in CH 3 CN) SCE 基準に直すと チオキサントン:- 1.46 V 電位差は 0.30 V ( ⊿ G = 6.92 kcal/mol) Q12. 硫黄原子がチオキサントンの LUMO を下げる理由 A12. 論文中には、硫黄原子は酸素原子に比べて分極しやすいためチオキサンテンの方が還元体を安定化するのではないかと書かれていました。