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Controlled ligand distortion and its consequences for structure, symmetry, conformation and spin-state preferences of iron(II) complexes

Nicole Kroll,a Kolja Theilacker,b Marc Schoknecht,a Dirk Baabe,c
Dennis Wiedemann,a Martin Kaupp,*b Andreas Grohmann*a and Gerald Hörner*a

a and b Technische Universität Berlin, Institut für Chemie, Germany.

Dalton Trans. 2015, 44, 19232

Abstract
The ligand-field strength in metal complexes of polydentate ligands depends critically on how the ligand backbone places the donor atoms in three-dimensional space. Distortions from regular coordination geo- metries are often observed. In this work, we study the isolated effect of ligand-sphere distortion by means of two structurally related pentadentate ligands of identical donor set, in the solid state (X-ray diffraction, 57Fe-Mössbauer spectroscopy), in solution (NMR spectroscopy, UV/Vis spectroscopy, conductometry), and with quantum-chemical methods. Crystal structures of hexacoordinate iron(II) and nickel(II) com- plexes derived from the cyclic ligand L1 (6-methyl-6-(pyridin-2-yl)-1,4-bis(pyridin-2-ylmethyl)-1,4-di- azepane) and its open-chain congener L2 (N1,N3,2-trimethyl-2-(pyridine-2-yl)-N1,N3-bis(pyridine- 2-ylmethyl) propane-1,3-diamine) reveal distinctly different donor set distortions reflecting the differ- ences in ligand topology. Distortion from regular octahedral geometry is minor for complexes of ligand L2, but becomes significant in the complexes of the cyclic ligand L1, where trans elongation of Fe−N bonds cannot be compensated by the rigid ligand backbone. This provokes trigonal twisting of the ligand field. This distortion causes the metal ion in complexes of L1 to experience a significantly weaker ligand field than in the complexes of L2, which are more regular. The reduced ligand-field strength in complexes of L1 translates into a marked preference for the electronic high-spin state, the emergence of confor- mational isomers, and massively enhanced lability with respect to ligand exchange and oxidation of the central ion. Accordingly, oxoiron(IV) species derived from L1 and L2 differ in their spectroscopic properties and their chemical reactivity.

阿部くんがやっているような、リガンドの剛直性による配位子場の歪みが錯体に与える影響を検討した仕事です。結晶構造、メスバウアーやDFTを使って、歪みのが配位子場に与える効果を明らかにしています。20-30 kJ/mol、環状配位子の場合は配位子場が弱くなっている、とconclusionでは書いてありました。
基本的には磁性屋さんのグループのようです。この論文のイントロは”entatic”の話になっていて、阿部くんのICを読んでるのではないかな、と思いました(残念ながら、引用はしてくれていません)。

論文の中から、参考になりそうなリファレンス
Eur. J. Inorg. Chem. 2012, 3000
過去の、Grohmannらの仕事。複核の銅錯体を作っており、環状のアミンとオープンチェーンの錯体で酸素との反応性を比べている(配位子のデザインはこの研究とはちがう)。オープンチェーンの場合はビス-μ-オキサイドが観測されるが、環状配位子の場合は中間体が見えない。しかし、残念ながらリガンドの構造の差が、あんまりポイントとして出ていない。
・P. Comba, Coord. Chem. Rev. 2000, 200, 217.
ドイツの生物無機化学をやっているピーターコンバによる、Entatic Stateに関するレビュー。Entatic について引用をつける場合は、"Metalloenzymes: the entatic nature of their active sites. B. L. Vallee and R. J. P. Williams, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A., 1968, 59, 498." とともに、引用するとよいかも。




環状アミンのほうの合成スキームは既報。ここでもウチの論文の引用はない。
(Eur. J. Inorg. Chem. 2013, 958 より)


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