化学:二ホウ素化とクロスカップリングのカスケードによる末端アルケンからの不斉合成
- Nature
- 505,
- 386–390
- doi:10.1038/nature12781
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一置換末端アルケンは、有機合成に理想的かつ有望な出発物質である。なぜなら、非常に大規模に製造されており、さまざまな化学変換を通して官能基化できるからである。また、アルケンは、多くの酸、塩基、酸化剤、還元剤の存在下で安定という魅力的な特徴も持つ。これらの属性にもかかわらず、90%を超える鏡像体過剰率で脂肪族α-オレフィンをキラル生成物に変換するエナンチオ選択的触媒変換の開発例は比較的少ない。サイト制御されたα-オレフィンのアイソタクチック重合を除くと、これらのエナンチオ選択的触媒過程はどれも、末端炭素に鎖伸長型炭素–炭素結合を形成するに至っていない。今回我々は、この合成法の空白部に直接対処する戦略について述べ、末端アルケンから多くのキラル生成物への単一フラスコ内でのエナンチオ選択的触媒変換を提示する。こうした反応は、非官能基化アルキルボロネート類似体と比較して1,2-ビス(ボロネート)のパラジウム触媒クロスカップリングを加速する隣接官能基によって、促進される。エナンチオ選択的二ホウ素化とともに、こうした反応性の特徴によって、アルケン出発物質が多種多様なキラル生成物に変換される。我々は、このタンデム型二ホウ素化/クロスカップリング反応が、概して高収率かつ高選択性(エナンチオマー比 > 95:5)で生成物を与え、使用する市販触媒や試薬の投入量が少なく(1~2モル%)、基質の範囲が広く、さまざまなアルコールやアミンの合成ターゲットに対処できることに注目している。これらの多くは現代の技術で容易に対処できないものである。
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