Daniel Delony, Dr. Markus Kinauer, Dr. Martin Diefenbach, Dr. Serhiy Demeshko, Dr. Christian Würtele, Prof. Dr. Max C. Holthausen, Prof. Dr. Sven Schneider
First published: 02 June 2019 https://doi.org/10.1002/anie.201905325
この論文では、メリディオナル三座配位子を持つイリジウム(II)-オキシル錯体の生成を、単結晶X線構造解析、IRなどから確認しています。結合長は約 1.8 Å 、Ir–O の振動数は740 cm-1 程度です。
イリジウム(II)ヒドロキシド錯体を、フェノキシラジカルによりHAT酸化することで、イリジウム(II)-オキシル錯体へと変換できるほか、銀により電子移動酸化した後に塩基を入れることによってもオキシル錯体が得られます。
2,4,6-トリメチルフェノキシラジカルとの間のHATが平衡過程であることから、BDEが 84 kcal mol-1 程度であることが調べられています。
模式的な電子配置からも予測されるように、イリジウム中心とオキシル配位子上のスピンは直交しており、トリプレットが基底状態となっていることについても言及しています。SQUIDもとっているようですが、J値が出ていないので、かなり三重項のほうが安定なのでしょう。ゼロ磁場分裂定数 (D) は、647 cm-1 と、かなり大きな値となっています。
DFTによる計算のセクションでは、多参照理論の方法の一つである擬縮退摂動法を利用して、重たいIrでは重要になってくる相対論効果を取り込んだ計算を行っています。
トリプレットーシングレット間のエネルギー差(J)が10 kcal mol-1 以上であり、ゼロ磁場分裂定数(D)が740 cm-1 程度であると、計算されました。
反応性についても以下の図のような反応が進行するようです。COの酸化を確認しているのは、こちらの分野の人、ならではです。CO2への求核攻撃も起こるようです。
First published: 02 June 2019 https://doi.org/10.1002/anie.201905325
この論文では、メリディオナル三座配位子を持つイリジウム(II)-オキシル錯体の生成を、単結晶X線構造解析、IRなどから確認しています。結合長は約 1.8 Å 、Ir–O の振動数は740 cm-1 程度です。
イリジウム(II)ヒドロキシド錯体を、フェノキシラジカルによりHAT酸化することで、イリジウム(II)-オキシル錯体へと変換できるほか、銀により電子移動酸化した後に塩基を入れることによってもオキシル錯体が得られます。
2,4,6-トリメチルフェノキシラジカルとの間のHATが平衡過程であることから、BDEが 84 kcal mol-1 程度であることが調べられています。
模式的な電子配置からも予測されるように、イリジウム中心とオキシル配位子上のスピンは直交しており、トリプレットが基底状態となっていることについても言及しています。SQUIDもとっているようですが、J値が出ていないので、かなり三重項のほうが安定なのでしょう。ゼロ磁場分裂定数 (D) は、647 cm-1 と、かなり大きな値となっています。
DFTによる計算のセクションでは、多参照理論の方法の一つである擬縮退摂動法を利用して、重たいIrでは重要になってくる相対論効果を取り込んだ計算を行っています。
トリプレットーシングレット間のエネルギー差(J)が10 kcal mol-1 以上であり、ゼロ磁場分裂定数(D)が740 cm-1 程度であると、計算されました。
反応性についても以下の図のような反応が進行するようです。COの酸化を確認しているのは、こちらの分野の人、ならではです。CO2への求核攻撃も起こるようです。
Credit: Willy
コメント