Enhanced Rates of C−H Bond Cleavage by a Hydrogen-Bonded Synthetic Heme High-Valent Iron(IV) Oxo Complex
Melanie A. Ehudin, David A. Quist, and Kenneth D. Karlin*
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141, 12558−12569
この論文は、鉄四価オキソポルフィリン錯体(F8Cmpd-II)にルイス酸として2,6-ルチジニウムトリフラートを加えることで、C-H結合活性化の向上に成功したことを報告しています。
具体的には、Figure3に示されているように2,6-ルチジウム付加体を用いた場合により高難度なC-H結合の活性化に成功し、第二配位圏の水素結合が活性種の反応性に与える影響が大きいことが示されています。
基質としてジヒドロアントラセンを用いた反応ではC-H、C-D結合の活性化をUV-visスペクトルにおいて観測することで、KIEは81となり、反応の律速段階が水素原子引き抜きであることを発見しました。また、LutH+とLutD+をそれぞれ付加体として用いた場合におけるジヒドロアントラセンとの反応ではKIEは0.68となり、水素結合が基質との反応に影響を与えていることが示唆されています。
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