A Nonheme Thiolate-Ligated Cobalt Superoxo Complex: Synthesis
and Spectroscopic Characterization, Computational Studies, and
Hydrogen Atom Abstraction Reactivity
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141, 3641−3653
DOI: 10.1021/jacs.8b13134
チオラート配位子を有する新規のコバルト錯体を合成し、酸素との反応によって得られるオキソ種の分光学的測定と外部基質とのHATの反応性について評価している論文です。
Q. 先行研究でのチオラート配位子を持つ錯体が外部基質と反応しない理由
先行研究にあるチオラート配位子を有するスーパーオキソ種の錯体は、硫黄原子に酸素が攻撃して硫黄酸化の反応が進行するために、外部基質との反応が見られませんでした。
Q. O-O伸縮振動の波数が先行研究のCoスーパーオキソ種に比べ小さくなる理由
コバルトと硫黄はイオン半径が近いために共有結合性が強く、コバルト中心に対しチオラート配位子から強く電子供与されることで、O-Oの結合が弱まり伸縮振動の波数が小さくなったと考えられます。
先行研究にあるチオラート配位子を有するスーパーオキソ種の錯体は、硫黄原子に酸素が攻撃して硫黄酸化の反応が進行するために、外部基質との反応が見られませんでした。
A. T. Fiedler, et al., Dalton Trans., 2017, 46, 13229-13241
今回の錯体が外部基質と反応する理由は、ジチオラート配位子にケイ素を有するので、硫黄上の非共有電子がケイ素上の空のd軌道に非局在化することで硫黄酸化の反応が抑制されているためであると考えられます。
Q. O-O伸縮振動の波数が先行研究のCoスーパーオキソ種に比べ小さくなる理由
コバルトと硫黄はイオン半径が近いために共有結合性が強く、コバルト中心に対しチオラート配位子から強く電子供与されることで、O-Oの結合が弱まり伸縮振動の波数が小さくなったと考えられます。
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