Justin F. Acheson, Lucas J. Bailey, Thomas C. Brunold & Brian G. Fox
Nature 544, 191–195 (13 April 2017) doi:10.1038/nature21681
Received 14 November 2016 Accepted 31 January 2017 Published online 27 March 2017
http://www.nature.com/nature/journal/v544/n7649/full/nature21681.html
Natureから、toluene 4-monooxygenase (T4moH)というトルエンを水酸化する酵素の反応機構についての論文が出ました。
二核の鉄中心を活性サイトに有するこの酵素では、µ-1,1のバインディングモードの鉄(II),鉄(III)スーパーオキシド種が活性種とのことです。スーパーオキシド種、およびスーパーオキシド種とトルエンが反応して生成したと考えられる化学種(下図)の構造が報告されています。
このC–O結合形成の後にO–O結合が切れるそうですが、鉄に配位したカルボキシル基によって、よっこらせとプロトンが運ばれるところがミソとしております。
反応スキームの全体が気になる人は、本文を見に行ってください。
Abstでは、芳香族求電子置換反応と書き出しておりますが、中間体はラジカル性であり、アレニウムイオンを経由していないという感じで説明している(DFT)ので、反応機構は厳密には芳香族求電子置換ではないのでは?
電子密度もパキパキとは言えないような?感じですし、まだまだすべてがわかったわけではありません。しかし何れにせよ、高原子価のオキシド種ではなく、ミックスヴァレンス(FeII-FeIII)のスーパーオキシドを活性種とするこの報告は、大きな議論を呼ぶのではないかと思います。
イントロの書き出しが「Aromatic rings are among the most widely distributed and recognizable forms of terrestrial carbon.」と、壮大な感じなのもNature paperならではで、見所。
Nature 544, 191–195 (13 April 2017) doi:10.1038/nature21681
Received 14 November 2016 Accepted 31 January 2017 Published online 27 March 2017
http://www.nature.com/nature/journal/v544/n7649/full/nature21681.html
Natureから、toluene 4-monooxygenase (T4moH)というトルエンを水酸化する酵素の反応機構についての論文が出ました。
二核の鉄中心を活性サイトに有するこの酵素では、µ-1,1のバインディングモードの鉄(II),鉄(III)スーパーオキシド種が活性種とのことです。スーパーオキシド種、およびスーパーオキシド種とトルエンが反応して生成したと考えられる化学種(下図)の構造が報告されています。
図:スーパーオキシドがトルエンを攻撃して生成したと考えられる化学種(1.8 A分解能)
(よく、こんなところで止まったものが取れましたね。)
このC–O結合形成の後にO–O結合が切れるそうですが、鉄に配位したカルボキシル基によって、よっこらせとプロトンが運ばれるところがミソとしております。
反応スキームの全体が気になる人は、本文を見に行ってください。
Abstでは、芳香族求電子置換反応と書き出しておりますが、中間体はラジカル性であり、アレニウムイオンを経由していないという感じで説明している(DFT)ので、反応機構は厳密には芳香族求電子置換ではないのでは?
電子密度もパキパキとは言えないような?感じですし、まだまだすべてがわかったわけではありません。しかし何れにせよ、高原子価のオキシド種ではなく、ミックスヴァレンス(FeII-FeIII)のスーパーオキシドを活性種とするこの報告は、大きな議論を呼ぶのではないかと思います。
イントロの書き出しが「Aromatic rings are among the most widely distributed and recognizable forms of terrestrial carbon.」と、壮大な感じなのもNature paperならではで、見所。
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