Visible-Light-Driven Photocatalytic CO2 Reduction by a Ni(II) Complex Bearing a Bioinspired Tetradentate Ligand for Selective CO Production
Dachao Hong†‡ , Yuto Tsukakoshi†, Hiroaki Kotani† , Tomoya Ishizuka†, and Takahiko Kojima*†
† Department of Chemistry, Faculty of Pure and Applied Sciences, University of Tsukuba and CREST (JST), 1-1-1 Tennoudai, Tsukuba, Ibaraki 305-8571, Japan
‡ Interdisciplinary Research Center for Catalytic Chemistry, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST), Tsukuba, Ibaraki 305-8565, Japan
J. Am. Chem. Soc., Article ASAP
DOI: 10.1021/jacs.7b01956
Publication Date (Web): April 28, 2017
Copyright © 2017 American Chemical Society
この論文では、S2N2タイプの配位子を有するニッケル錯体を用いて、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する効率的な光触媒反応系について報告しています。
この触媒反応系では、光増感剤として[Ru(bpy)3]2+を、電子供与体してBIHを用いています。
太陽エネルギーによって、二酸化炭素を一酸化炭素やギ酸、メタノールに変換することは、環境エネルギー問題を解決するため重要な反応として注目されています。
このニッケル錯体を用いることで、これまで報告されてきたCO2還元ニッケル錯体と比較して
①高い触媒回転数、②高いCO選択性、③高い量子収率
を達成しました。
S原子がニッケル中心に配位することで、上のスキームに示す反応活性種である低原子価のニッケル中間体([Ni0L]0)が安定化されるため、この錯体は効率のよい触媒活性を示します。
先日、雑誌会で紹介した錯体もS原子による中心金属の価数を安定化することが鍵となっていました。
今回の論文でも、錯体のS原子が反応活性種の中心金属のニッケルの価数を安定化することでよい触媒反応性を示しています。
この論文は、伊東研の触媒反応系とは分野が異なりますが、配位子にS原子を組み込むことで、反応性の向上が期待でき参考になると考えました。
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