Spin Changes Accompany Ultrafast Structural Interconversion in theGround State of a Cobalt Nitrosyl Complex
Hugo J. B. Marroux, Basile F. E. Curchod, Charly A. Faradji, Timothy A. Shuttleworth,Hazel A. Sparkes, Paul G. Pringle, and Andrew J. Orr-Ewing*
DOI: 10.1002/anie.201707508
Co(II)のニトロシル(•NO)錯体についての論文です。ニトロシル配位子は金属中心に様々な形式で配位することが知られています。この論文では、窒素がsp的に配位した直線構造と、sp2的に配位した屈曲構造の間の相互変換を、二次元赤外分光法と呼ばれる方法で追跡し、平衡定数、速度定数を求めています(結晶構造ではディスオーダーしています)。
DOI: 10.1002/anie.201707508
Co(II)のニトロシル(•NO)錯体についての論文です。ニトロシル配位子は金属中心に様々な形式で配位することが知られています。この論文では、窒素がsp的に配位した直線構造と、sp2的に配位した屈曲構造の間の相互変換を、二次元赤外分光法と呼ばれる方法で追跡し、平衡定数、速度定数を求めています(結晶構造ではディスオーダーしています)。
この錯体ではNO直線配位と屈曲配位の相互変換に際して、スピン状態もシングレットからトリプレットへと変化するようです。NO直線配位では、NOをエカトリアル位とする三角両錐構造なのに対し、NO屈曲配位においては、NOを頂点配位子とする四角錐構造となります。分子軌道の図を見ると、構造が変化する際にCoのdyz,zxと、NOのπ*軌道の相互作用が小さくなると考えると理解できます。
どうなっているかわかりにくかったので、窒素と酸素がsp2、sp3の状態をそれぞれ書いてみました。屈曲構造(sp2)ではπ*がコバルトから電子を受け取ります。直線構造(sp)では、π*の電子がCo中心に移動すると考えます。このときNOは形式的に+NOとなりますが、分子軌道から分かるように、π*から電子を一つ捨てることによって三重結合を形成することができるので、NOの酸化電位は比較的低いところ(1.0 V vs SCE 付近)にあることも重要です。直線の+NO配位となると、ちょうどCOが配位した場合と同じような電子構造となり、金属中心からの逆供与も大きくなります。
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